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閃光が直撃した新撰組屯所は、大きな音を立てながら、積み木を崩すように崩壊していく。
新撰組屯所を中心に広がる激しい砂塵。
俺は片手をあげて、自分の顔を覆った。
マリアの悲鳴は、閃光の直撃と同時に途絶えた。
砂埃に姿を隠されたマリアに視線を戻す。
あれほど強大だったマリアの体内エネルギーは感じない。
「──!」
晴れ渡っていくと同時に、砂埃の中に人影が浮かぶ。
「マジかよ……」
思わず、絶句してしまうほどの光景がそこに存在した。
三つの上半身の姿はなかったが、代わりに本来の一人の姿であるマリアが立っていた。
その傍らには、見覚えのない二人の男女の体が横たわっている。
ちょうどその時、滞空していた天草総長が、俺たちの前に降り立った。
「おそらくメインストーリーのシステムを切り離すことで、生き長らえたのでしょう。あれが、本来あるべきはずの彼女の姿です」
しかし、マリアは立っているのがやっとだと言うほどに足元がふらついていた。
「わらわは……。何のために存在する? 兄弟を守るべく拳を握ったのではなかったのか。何のために、戦い続けてきたのだ?」
マリアの瞳からは、滴が流れ落ちた。
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