心臓の穴

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「簡単だ。あなたは私たち兄弟のために戦ってくれた」 マリアを挟んで、数十メートルほど先から聞こえてくる声。 血だらけになりながらも、足元をふらつかせて壁伝いに歩くジャネットだった。 ジャネットはライフル銃を手に持ち、銃口をマリアに向けている。 「しかし、いつの頃からか目的を忘れてしまい、そして大きく道を外れていったんだ」 ゆっくりと、ジャネットはマリアを目指して歩き始めた。 「わらわは……。わらわは兄弟たちを生き返らせるために、ブラックアウトを始めた。しかし、いつの頃からか、多くの任務を与えられることになり、人を裁量する立場となり、人を殺めていくようになった」 ジャネットとマリアの距離まで、あと数メートル。 「わらわは過ちをおかしたのか?」 「そうかもしれない。私は世界を変える瞬間だなんて間違っていると思っている。しかし……。私だけはあなたを理解している」 距離1メートル。 「あなたは私たち兄弟を取り戻すために戦ったのだと。世界中の誰もが姉さんの行動を否定しようと、私だけは理解している」 「そなたは……」 ジャネットは銃口を下げなかった。
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