474人が本棚に入れています
本棚に追加
「簡単だ。あなたは私たち兄弟のために戦ってくれた」
マリアを挟んで、数十メートルほど先から聞こえてくる声。
血だらけになりながらも、足元をふらつかせて壁伝いに歩くジャネットだった。
ジャネットはライフル銃を手に持ち、銃口をマリアに向けている。
「しかし、いつの頃からか目的を忘れてしまい、そして大きく道を外れていったんだ」
ゆっくりと、ジャネットはマリアを目指して歩き始めた。
「わらわは……。わらわは兄弟たちを生き返らせるために、ブラックアウトを始めた。しかし、いつの頃からか、多くの任務を与えられることになり、人を裁量する立場となり、人を殺めていくようになった」
ジャネットとマリアの距離まで、あと数メートル。
「わらわは過ちをおかしたのか?」
「そうかもしれない。私は世界を変える瞬間だなんて間違っていると思っている。しかし……。私だけはあなたを理解している」
距離1メートル。
「あなたは私たち兄弟を取り戻すために戦ったのだと。世界中の誰もが姉さんの行動を否定しようと、私だけは理解している」
「そなたは……」
ジャネットは銃口を下げなかった。
最初のコメントを投稿しよう!