心臓の穴

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─────マリア────── 私は四人兄弟です。 長女が私。その下に歳の近い長男、歳の離れた双子の次女、次男が続きます。 とっても仲の良い兄弟です。 父と母は仕事で忙しいので、下の子たちの面倒は私が見ています。 自分で言うのもなんですが、よくできた弟たちです。 両親が仕事で忙しくて寂しい思いをしていますが、文句一つ言いません。 そのおかげか、面倒はほとんど私が見ていましたが、苦痛に感じることなど一度もありませんでした。 それに、年の近い長男が私の手助けをしてくれています。 そんなある日、私はいつものように買い物へ行きました。 みんなの夜ご飯を買いにスーパーへ。 今日は双子たちの好きなハンバーグにしようと、材料をかごの中に入れました。 「お嬢ちゃん。お父さんとお母さんが何をしているか知っているかい?」 突然、知らないおじさんに話しかけられました。 上品な背広を着て、とても、冷たい目をした表情のない人です。 私は無視しようか一瞬だけ悩みましたが、意味深な言葉に堪えきれず反応してしまったんです。 「おじさん、誰?」 その男は、にやりと気味悪く笑いました。
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