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カフェなどあまり入ったことがない私は、やや緊張していたのを覚えている。
「さて、君のお父さんとお母さんは、あるゲームを作る仕事をしている」
「ゲームですか?」
そう言えば、私は両親が何の仕事をしているか全く知らなかった。
「そう。世界を変えてしまうような壮大なゲームだ。とても危険だが、何れ世界中の人々を自分で扱えるようになる素晴らしいゲームなんだよ」
私はオレンジジュースを飲みながら、おじさんの話に耳を傾けた。
冗談を言っているのだろうか?
やっぱりこんな怪しげな人についてくるべきじゃなかったと、後悔すらした。
「それでおじさんは何のために、私にそんな話を?」
「勘の鋭いお嬢ちゃんだ。今、我々は非常に困ったことに遭遇している。実はゲームの一部分に君にしかできない部分があるんだ」
「私にしか?」
「そう。おかしな話だろ? ちょっと特別なゲームでね。そういう仕組みになっているんだよ。そこで君にぜひ協力してほしい」
「何故、私にしかできないんですか? それに、お父さんとお母さんが私に言いにくればいいのに……」
「いやいや、君のお父さんとお母さんはちょっと手が離せない状況でね」
私は席を立ち上がった。
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