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この重責に、私情などあってはならない。
わらわの左右にいる二つの死体は、もはやどのような意味があるのかすら忘却してしまった。
おそらく、メインストーリーのシステムをわらわに装備する際に、必要なものだったからだろう。
わらわを満たす存在は、あのお方のみ。
他の何でもない。
もうすぐ、長年の結果が出る。
世界が変わる瞬間が訪れる。
それにより、世界の王の想いが成就する。
わらわはそれで満足なのだ。
そんな矢先、わらわにとって予想外のことが起きる。
シンデレラクエストに訪れてきた若者たちのことだ。
わらわは、初めて期待した。
他人を蹴落とす心の汚い者ではなく、互いに協力をする数人の若者に。
その者たちは、イバラの道を乗り越えてきた。
そして、わらわにとってさらに予測していなかった事態が訪れる。
その者たちと、わらわの弟がここへ来たのだ。
全てを忘れていた……いや封じられていた過去が次々に甦り始める。
わらわは何のためにブラックアウトを?
今、目の前にはわらわの大切な弟がいる。
こんな姿になってしまった私を抱き締めてくれるその男は、紛れもなく血が繋がっている。
私は何のためにブラックアウトを?
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