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─────渋谷和也──────
ジャネットとマリアは、眠るように動かなくなった。
離れていても、体内エネルギーを一切感じないことから息絶えたことがわかる。
その直後、巨大な金槌でビルを殴り付けたように、凄まじい音が鳴り響く。
見上げると、空がガラスが割れたかのように大きな穴を空けていた。
さらに、周囲の建物が溶け始める。
「まずいですね」
天草総長は、そんな光景を見ても至って平静にそう言った。
「メインストーリーのシステムはマリアが死ぬことで、本当に壊れ始めたみたいです」
「早く脱出しましょう!」
さすがに仁も、この事態に珍しく慌てた様子で声を発する。
「いやああ! こんなとこで死にたくない!」
美沙は悲鳴を上げながらパニックに陥る。
「何か手はないの?」
杏奈も困惑を隠せない様子で、辺りの様子を窺う。
『飲み込まれるぞ。メインストーリーのシステムの中にいるんだ。上手いことできているな。最悪でも脱出できないような意図で作られた可能性が高い。出口のない建物か』
やばいじゃん。
どうすんだよ!
そうだ!
「天草総長! こんな時こそ、瞬間移動お願いします!」
天草総長は、真顔でこう答えた。
「言ったじゃないですか。この力で最後ですって。無理ですよ」
決して、冗談を言っている雰囲気じゃなさそうだ。
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