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全員が唖然とした。
「じゃあ、俺たち全員ここで死ぬんですか?」
俺、仁、美沙、杏奈の四人は、少なくともどん底に突き落とされたような表情を浮かべたに違いない。
空はどんどん割れて、建物は次々に溶けていく。
段々と原型を留めない形となってきた。
天草総長は、にやりと笑って自慢気な顔つきでさらにこう言った。
「ですが……。実は本気を出せば、私一人が瞬間移動を行うくらいの体内エネルギーは残されています」
「え?」
美沙は呆然としながら、短くそう言った。
「瞬間移動は私以外を移動させる際には、非常に体内エネルギーを消費しますが、私だけなら燃費はいいほうですからね。皆さんとのお別れは悲しいですが……」
天草総長は、意地悪げに涙を拭くふりまで始める。
本当にこの人はそんなことを言っているのだろうか?
「残念ですが、そろそろ私は行かなければいけません。危ないですから。それでは……」
そう言うと、天草総長は胸に手を当てた。
「ちょ、ちょっと待ってください! 何か方法はないんですか!」
俺が慌てて天草総長の両肩を掴むと、面倒そうに答えた。
「だって、あなた方、私に隠し事をしているじゃありませんか」
隠し事?
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