心臓の穴

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「何もしてないですよ!」 こんな事態にでも、いきなり訳の分からないことを言い出す天草総長に、俺は慌てながらそう言った。 「それじゃあ、あなた方がここへ来た目的は何でしたっけ?」 その言葉に、仁以外がハッとした表情を浮かべる。 「黒い鍵……」 俺は思わず声に出して呟いた。 「そうです。見つけないうちにここを脱出してもいいんですか? まずいんじゃありませんか?」 叩きかけるように、天草総長は全員を見渡しながらそう言った。 「まあ、あなた方が実は最初から黒い鍵を持っていたなら話は別ですけどね。私には内緒にして……」 もはや全てを見透かしているような瞳をしている。 「冷たいですねえ。もしかして、私がホワイトマジックだから、いざと言う時のための交渉材料とかにしようとしたんじゃないですか? 別のチームのホワイトマジックだから」 俺は仁に視線を向けた。 「最悪でも自分たちは最初から目的を達成しているわけですから、撤退することも可能です。その可能性を考慮して、私には内緒にしてたってところですね」 その言葉で、仁は深く頭を下げて謝った。 「すいませんでした!」 「大人をなめちゃいけませんよ」 天草総長は、勝ち誇ったかのようにニヤリと笑った。
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