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「でも、これが目的の鍵だと言う保証はどこにもなかったんです!」
取り出した黒い鍵を天草総長は、じっと見ながら答える。
「目的の鍵ですよ。間違いなく」
意味深な表情をする天草総長を見て、場は一瞬、沈黙に包まれる。
しかし、次に天草総長はこう言った。
「さて、そろそろ冗談を言う時間もないほど、まずい状況になってきました」
周りを見渡すと、建物の大半は溶け落ちて空は暗黒に包まれている。
まずい……。
今、立っている場所が無事なのが不思議なくらいだ。
「それでは全員私に捕まってください。移動しましょう」
それを聞き、全員が慌てて天草総長に手を伸ばした。
胸に手を当てて、天草総長はゆっくりと目を閉じる。
「私に感謝してください。帰ったらマニーゴッドのカジノに行って、私に出資してくれてもいいですよ……」
これで帰れる……。
全員が安堵して、天草総長を掴み続けた。
「ん?」
だが、いつもなら一瞬で切り替わるはずの景色は未だに変化しない。
「あれ? おかしいですね」
自信満々な顔をしていた天草総長は、さっきまでと一変して深刻な表情をしている。
「あれ? 瞬間移動発動!」
しかし、景色は切り替わらなかった。
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