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クエストボックス。
扉の上に掲げられた看板には、『魔女クエスト』と書かれていた。
しかし、これまで見てきたクエストボックスとは異なり、どこか古びている。
気のせいじゃなかった。
暗闇に包まれているせいでわかりにくかったが、所々に補修した部分が見受けられる。
まるで、穴を塞ぐように同じ色の板を被せただけのような雑なやり方だ。
「何かしら。あれ……」
その時、杏奈がクエストボックスとは全く別の方角を指差した。
松明の火を集めて照らしてみると、地面から木のような何かが生えていることがわかる。
よく照らしてみると、人を吊るすことができそうなほどの大きさをした十字架だった。
嫌な感じだ。
ピノキオクエストを思い出す。
「いくぞ」
仁が先頭に立って扉を開けると、ぎいいと嫌な音が洞窟内に響き渡る。
「何か不気味ー」
美沙が不安そうな顔をしてそう言った。
意を決して中に入っていくと、これまでと同じく室内は頼りないブラックライトの明かりで照らされている。
部屋の奥には、ATMに似た機械が設置されていた。
機械からは、異様な音声が流れる。
『よう……こ……そ……。魔……女……クエ……ス……トへ……。だい……歓……迎だ……よ』
何だ。これ。
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