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【あるところに、小さな国がありました。
名を、ウィザード王国。
他の国から見れば、どこよりも美しい自然に囲まれ、どこの国よりも平穏です。
小高い丘の上に立つ細くて真っ白なお城は、他の国の王が羨むほどの美しさを放ち、麓の噴水広場を中心に、城下町が広がっています】
聞こえてくる語り手の声。
同時に、脳内にはその国の景色が映し出される。
【しかし、それは表から見たウィザード王国であり、実際は国民たちを厳しく管理して、無理な納付を押し付け、ノルマをこなせない者は処刑にするほど、非情な国でした】
映像は、人々が鞭で叩かれて、悲鳴を上げている姿が映し出される。
【そんな内政がずっと続くのには、ある事情がありました。
国民たちは、王族に逆らえない理由があったのです。
それは、圧倒的な暴力でした。
ウィザード王国の王族は、代々、魔力を持ち、魔法を使うことができたのです。
王族しか持たない不思議な力。
あらゆる種類の魔法は、人々を救うこともできましたが、ほとんどが暴力の為に使用されました。
その為、魔法を使えない民は、王族の力に怯えることしかできなかったのです】
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