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─────渋谷和也─────
進むべき道は、本当に正しいのか?
残り2本の黒い鍵の回収を依頼された俺たちは、そのうちの1本を探しにレッドキングダムを後にしたところだった。
リリルさんは、俺たちに5人乗りの乗用車を用意してくれた。
運転席には仁、助手席に俺、後部座席には美沙と杏奈が座っている。
何だか、懐かしいとさえ思う光景だ。
自動車は、巨大なオリンポスを背景に、延々と続く荒野を走っていく。
リリルさんの情報によると、黒い鍵の在り処はあるクエストの報酬で手に入るとのことだった。
名を、魔女クエスト。
マリアを連想させるような、嫌な名前のクエストだ。
俺は、リリルさんとのやり取りを思い出した。
「そのクエストは、まだ誰も挑戦したことがない未知のクエストなんだよー」
「何故、誰も挑戦したことがないんですか?」
仁の疑問に対して、リリルさんはすぐに答える。
「簡単だよー。新しく現れたんだ。マリアが倒されてね。まるで、スイッチを押したら現れる扉のように」
リリルさんは続けてこう言った。
「憶測だけど、おそらく黒い鍵はこのクエスト内にあると思うんだ」
「憶測……ですか」
杏奈の疑問に満ちた表情に、リリルさんは自信を持って頷いた。
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