556人が本棚に入れています
本棚に追加
クエストの中の登場人物だよな?
機械的で冷徹な雰囲気を醸し出してはいるが、不思議な事に人間味を感じる。
そう……。与作みたいな。
俺たちに向けられたアールグレイの冷たい眼差しは、まるで審査をしているような感じがした。
「二人だけか……?」
しばらく間を置いてから、アールグレイは仁に向かってそう訊いた。
俺ではなく、明確に仁へ視線を向けている。
仁は、その質問に対して即答した。
「いえ、他に二人の仲間がいましたが、はぐれてしまいました」
美沙と杏奈のことか。
よく、そんなすぐに嘘が出てくるな。
「なるほど。先ほど、城で捕らえた二人は知り合いか」
美沙と杏奈は、やっぱり国内に飛ばされたのか。
大丈夫だな……。
仁は、そこまで予測して当たり障りのない言葉をチョイスしたのだろう。
アールグレイの視線が、今度は俺に向いた。
「中に入るがいい。城に招待しよう」
短くそう言って、背中を見せる。
「開けろ」
二人の門番は、アールグレイに従い、慌てて開門の作業を始める。
第一段階クリアってところなのか?
仁を見ると、いつものように上手くいったというよりは何かを考えるようにアールグレイの背中をジッと見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!