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船の中は、不思議なことにどこよりも安全な気がした。
「まるでガレオン船だな」
仁が甲板で、船を見渡しながらそう言った。
リリルさんが用意してくれた船は、まるで大勢の海賊たちが乗りこなすかのように大きく、5本の帆柱を構え、舷側には2列の砲列が備えてあった。
おそらく海の上にクエストがあることもあり、何かあった時の為に気を遣ってくれたのだろう。
大砲なんて使えるのだろうか……。
そんな心配を余所に、航海中は、ピノキオクエストへの挑戦者を選ぶ試験が始まるわけでもなく、順調に目的地へ向かって進む。
出発してから3日目の夜、明日の昼頃には到着する予定のため、俺たちは甲板に集まり、床に座って話し合いを始めた。
仁がDIMの画面を見ながら口を開く。
「リリルさんの情報によると、魔女クエストのボックスは海の上にある洞窟内にあるらしい……」
それに対して、杏奈が不思議なそうな顔をして訊いた。
「どういうこと?」
「つまり、海に現れたのは島なんだよ。あまりにも深い位置にあるから、おそらく山にできた洞窟に海の水が侵入してんだろ。そのまま船で侵入すれば、クエストボックスに辿り着くって書いてある」
画面を見ながら、まじまじと話す仁。
リリルさんの情報力は相変わらず、すごいな……。
そう思ったが、次に仁が放った言葉は意外な内容だった。
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