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今まで人によって作られてきた生物とは、何度か戦ってきた。
だからこそ、わかる。
作られたものじゃないってことが……。
あの巨大生物の中に流れていた体内エネルギーは、人間そのものだった。
それとも、姿は人間じゃないが、人間に限りなく近い存在なのだろうか?
暗い洞窟内、仁が船内から一人一本分の松明を持ってくれて、それぞれ火をつける。
それでも、周囲は全然見えなかった。
暗闇に支配されている。
「座礁に気を付けないとな」
仁が松明を片手に舵をきる。
それから10分ほど緩やかに進み続けると、前方にうっすらと何かが見えてきた。
確認した限りでは、どうやら足場があるように見える。
「ここから泳ぎましょ」
杏奈がそう提案すると、全員がその言葉に頷き、船から飛び込んだ。
────バシャーーン
水は、肌を通してリアルな冷たさが伝わってくる。
足がつく場所までは、ほんの数十メートルだった。
仁、美沙、杏奈も足がつくと、水を拭う。
「あったな」
俺は目の前に広がった光景を見ながら、そう呟いた。
「なんか気味悪いねー」
美沙が俺の言葉に続いて言う。
少し先には、見慣れた箱が存在していた。
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