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─────進藤美沙─────
どういうこと?
ここが、体内エネルギーを封じ込める施設だとしたなら、私は自力で脱出ができない。
私は鉄格子を両手で掴み、揺さぶってみた。
やっぱり簡単には、出られそうにない。
目を凝らして、鉄格子の向こうを見てみても、闇のせいで何があるのかわからない。
もしかしたら、何もないのかもしれない。
延々と闇が続いているような気がして、心に焦りが生まれた。
「和也!」
「仁!」
「杏奈ちゃん!」
名前を呼んでみるが、反響を繰り返すだけで、誰かが答えてくれることはなかった。
どうしよう……。
焦りが生まれる。
こんな時に、どうすればいいのかわからない。
私は焦る気持ちを必死で抑えた。
「痛っ!」
急に、後頭部に針を刺したような痛みを感じ、私は手で触った。
手には、髪の毛だけじゃなく、パリパリとした皮のような物と、水っぽい何かが触れる。
何、これ?
触るとズキンっと痛みが走った。
暗闇のせいで、見ても指先には何がついているのかわらない。
そっと鼻に近づけてみると、鉄っぽい匂いがした。
血だ……。
怪我をしている?
そう思うとさらに心が焦った。
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