世界樹

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いつ怪我したの!? 冗談でしょ! でも、視界は真っ暗だから何も見えない。 この液体が赤いのかさえも把握できない。 血の匂いと錯覚しているだけで、実は全く違う液体かもしれない。 天井から垂れてきたのかも? 私は見上げた。 やはり、何も見えないが、何かが垂れてきているような気がしなくもない。 硫酸か何か? 硫酸じゃなくても、体を徐々に溶かしていくようなインジェクションの可能もある。 そう思うと、全身に何か液体がついている気がする。 まずい。何これ? 私は再び後頭部を両手で触った。 やっぱり痛い。 致命傷? どれくらいの傷なの? 失血死とかしないよね……? 気が動転する。 心音は破裂するかもしれないほど早い。 どうしよう。どうしよう。 今は誰も助けてくれない。 みんなは周りにいないんだ。 私は再び見上げた。 天井から何かが垂れてきて、私の体を溶かす? 慌てて、後退りをして壁に張り付いた。 冷たい感触。ジワリと背中が何かに触れる。 「いやあああああ!」 フードガンを構えても、体内エネルギーは発動しない。 闇が侵食するかのように、心を追い込んでいく。 どうしよう。どうしよう。 『落ち着けよ』
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