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ミルクの話が終わると、空間の中は一気に慌ただしくなった。
まず奇襲をかけるために、丘に繋がる道を通って何台もの大砲を運ばなければいけない。
丘に繋がる道は、かなりの急斜面となっているため、体格の良い男が数人で押しても、大砲はかなり重たい。
この秘密の空間は蟻の巣と同じような作りで、その光景は蟻が女王のために働く姿を連想させた。
一人が砲台に取り付けられた綱を上から引っ張り、その後ろで3人ほどの男とたちが一気の押し出していく。
そして、丘に出る直前の出口のところで、大砲を支えながら待機する。
その後ろに新たに運んできた大砲が並び、またその後ろに大砲を支えて並ぶ。
手慣れた動作は、おそらくこれまで何回も練習してきたことを物語っていた。
出口の先では、向こう側からはただの草にしか見えないが、こっち側は両方に開く扉となっている。
パレードが始まれば、その向こう側は戦場になるのだ。
俺と仁も、他の数人の男と一緒に大砲を押して一番後ろに並んだ。
あとはパレードが始まったら、前に続いて出撃するだけ。
待ってろよ。美沙。杏奈。
もうすぐ助けるから。
地上からいくつもの炸裂音が聞こえてきた。
おそらく花火の音だろう。
パレードが始まった。
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