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空洞内に居る全員が口を閉じて、外から聞こえてくる音に全神経を集中させる。
聞こえてくる高らかなラッパの音は、パレードを始める合図として奏でられた。
ここまではミルクが話していた通りの流れだ。
予定では、この後、いよいよパレードが始まり、一番先頭に十数人の兵隊長が城から出てくる。
ズシン、ズシンと空洞内に響き渡る音。
頭上からは、いくつも重なった音が聞こえてきた。
これは足音だ。大勢が同時に足を揃えて歩くと、地下ではこんなに大きな音になるのか。
『心拍数が乱れている。緊張しているぞ』
少しぐらいは緊張するさ。
大丈夫。今だけだ。
仁を見ると、両目を閉じて音に集中しているようだった。
攻撃を仕掛けるのは、一般兵の後に出てくる第2の王だ出てきた時だ。
もうまもなくその時を迎えるはず。
その時が訪れたら、地上でパレードを確認しているメンバーがここに戻ってきて出撃の合図を出すんだ。
「――――!」
反対側の空洞から、慌ただしい足音が聞こえてくる。
おそらくパレードを確認しているメンバーのものだ。
少し早くないか?
息を切らしながら必死に走ってきた男は、ミルクの前まで辿り着くと大声でこう言った。
「予想失敗! パレードの順番が違いました! 第2の王が先頭です」
パレードの順番が違う?
場が一瞬にして凍りつく。
しかし、この場を支配した沈黙をミルクは一瞬にして破った。
「好都合だ! 我々の目的はまず第2の王! 出撃だ!」
一斉にして叫ぶ大勢の雄叫び。
丘に続く扉が、慌ただしく破られた。
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