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「何、やってるんだ。こんなところで」
訊きたいことは山ほどあった。
姿を消したことや、そもそもあんたは何者なんだってことも訊きたい。
「お久しぶりですね」
その時、俺は周囲の違和感に気が付いた。
見渡してみると、俺と神谷以外の人間の動きがピタリと止まっている。
ついさっきまで騒がしかった丘が、いやクエスト全体が嘘のように静寂に包まれていた。
まるで、時間が止まっているように。
何で止まってるんだ?
冷静な様子なところを見ると、もしかして神谷の仕業なのかもしれない。
「面白いですね。君たちは、同じ学校に通っていた同級生ということだけで繋がり、そしてこのブラックアウトの世界を旅してきた」
「答えろよ。あんた、ここで何してんだよ」
「どんな絶望を味わうことになっても、たかが同級生という絆を大事にして、そしてどんなことがあってもあきらめない」
神谷の動きに俺は警戒したが、不思議なことに敵意は示してきてないようだった。
「私が求めていたのは、まさに君たちのようなチームワークだ。そして、黒田が求めていたのも」
神谷は杖の先を両手で持ち、体全体を支えているかのような体勢をとって、にやりと笑った。
「改めて自己紹介をさせていただこう。私は、ブラックアウト運営委員会、世界の王の補佐の神谷だ」
付け加えるように言う。
「元だけどね」
世界の王の補佐?
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