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―――古手川仁――――
「ギャハハハ。どうした? もう終わりパン?」
爪の攻撃が敵に弾かれて、俺は一度大きく後退した。
「さっきまでは威勢が良かったのに、意外と大したことないパンね」
攻撃に迷いが生じたか。
戦力だけなら確実に相手を上回っているはずなのに、何故か劣勢を強いられている。
いや、体内エネルギーを削っていく作戦が失敗だったのか?
死神の黒い力に、獅子神輿の力を合わせれば、その作戦はほぼ成功するはずだった。
なのに、どういうわけかこっちの命力が一方的に削られていく。
くそっ。
俺は敵に体内から溢れる体内エネルギーに注目した。
アッサムは、切り裂かれると同時に粘土のような物に変化して、別の場所に現れる。
それは確かに実行しているはずなのに。
体内エネルギーを大きく消費したのは、一回目の攻撃だけだった。
今のアッサムの体内エネルギーは、さっきより大幅に回復している気さえする。
そんなことがありうるのか?
これじゃ、こっちの体内エネルギーが底をつくまで繰り返されているような感じさえする。
「そっちから来ないんじゃ、こっちから攻撃を仕掛けるしかないパンね」
敵は、腕に大きな炎を溜め込み始めた。
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