524人が本棚に入れています
本棚に追加
直後、土方さんがボールを握るように沖田の頭の上を掴むと、そのまま思いっきり地面に叩きつけた。
沈んだ場所を中心に地が割れて、沖田の顔面がめり込む。
そのまま髪の毛をぐしゃぐしゃに掴み、顔を持ち上げた。
「痛いなあ。土方さん。いきなり地面に顔から叩きつけるなんて、らしくない攻撃方法ですね」
美しいとさえ感じられる沖田の整った顔は血と地面の泥まみれになっている。
「恨むのは勝手ですが、騙されていたあなたたちが悪いんですよ?
まんまと運営委員会のメンバーを仲間にしてしまい、情報が筒抜けになっているにも関わらず、誰も仲間のことを疑おうともしない。
それどころか、情報が盗まれているのは敵の能力だ。とか言ってましたっけ?
全く。笑いがでるよ」
沖田の一言一言が、抉られるようにきつい言葉だった。
天草総長は、そんな言葉を放つ沖田に冷たい視線で見下ろしているが、土方さんの方は明らかに見た目に出るほど怒りで反応していた。
「それがお前の本音かよ……。俺は、たった今、お前に会うまで本当は何かの間違いかもしれない。本当は敵の能力にでも操られているのかもしれないって、心のどこかでそう思ってたんだぞ」
髪の毛を掴まれて顔だけ持ち上げられている沖田は、次の瞬間、信じられない行動に出た。
口から土方さんの顔面に向けて、思いっきりツバが吐きかけられる。
「バーカ。まだ妄想してんのかよ」
地に落とされるほど冷たい声に、いつもとは違った口調。
土方さんの目の色が変わった。
最初のコメントを投稿しよう!