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どうする?
黒い力が奴に通じないなら、もう俺に残された対抗手段はない。
体内エネルギーを消費しすぎた俺は、思わず地面に片膝をついた。
「ゆっくりと焼くパンよ」
敵の炎が最大まで膨らみ、まもなく放たれるであろうことを直感する。
いや、ここであきらめたら、俺が生きている意味がない。
ついさっき、そう誓ったはずだ。
何をやっているんだ。
「けっこうやるじゃない。見直したわ」
不意に頭上から聞こえてくる声。
俺はその声に、無意識のうちに警戒心を解いて視線を向けた。
長く美しい髪は燃えるように真っ赤で、細い体つきからは信じられないほど洗練された体内エネルギーが湧きあがっている。
手には、自分の身長よりも大きい異常に長い槍が持たれていた。
ミルク。反乱軍のリーダー。
そして、クエストの中心人物だ。
「お前は……?」
アッサムの興味は既にミルクに移っていた。
既に準備が整っている腕に溜めこんだ炎は、いつでもミルクに放てるようにしている。
同時に、アッサムは動揺していた。
「な、なん、なんでその瞳を持っているパン」
「さあね」
にやりと笑うミルク。
アッサムが動揺したのは、ミルクが自分と同じ碧眼を持っていたからだ。
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