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「アニーさん。そろそろ行きましょうか」
優くんは、あの頃と変わらぬ笑顔でアニーに言った。
「え? ここに来たのって、伝説の三人を手に入れるためじゃなかったの?」
アニーも、優くんの言葉が予想外だったみたいだ。
逃がすわけにはいかない……。
でも、自分の気持ちとは裏腹に体は動かなかった。
「そう思ってたんだけど、クエストの時間は本人じゃないと動かせないからね。絶対に必要な“物”でもないし」
「そう……」
アニーは吸殻を地面に捨てながら言った。
「ちょっと待ってください」
そう口にしたのは、天草さんだった。
「逃げるつもりですか?」
天草総長は、優くんとアニーに向かって静かな佇まいで問いかける。
優くんは、鼻で笑ってからこう答えた。
「相変わらず、戦闘が好きなんですね。安心してください。すぐに戦う時が来ますよ。上に居るボスともね……」
その時、優くんが俺に視線を送ってきた。
「和也くん」
懐から何かを取り出す。
それは、俺たちが求めている黒い鍵だった。
「僕も持っているよ。だから、取りにおいで。君の実力で。メインストーリーで待ってるよ」
その瞬間、優くんと、アニーは勢いよく地から飛んだ。
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