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「でも、実はもう一つ抜け道があります」
神谷は、手の平を樹から離して見上げながら話し続けた。
「それは、世界樹を成熟させること。そうすると、クエストはクリアになります」
その言葉を聞いた仁が、真っ先に反応した。
「それって……。生贄を捧げないと」
「その通りです。このクエストは生贄を捧げることにより、クリアとなります。それにより、二つの出来事が起こる」
神谷はそう言うと、手の平を掲げた。
「────！」
すると、杏奈が体を横たえた状態で、ゆっくりと空から降ってきた。
見たところ、杏奈は意識が無さそうだ。
やっぱり世界樹に居たのか……。
神谷は、ゆっくりと降ってきた杏奈を手の平に優しくのせると、俺たちに差し出してきた。
仁が、杏奈を受けとると、神谷は世界樹に視線を戻す。
「さて、それでは私はこれで失礼します。心配しないでください。生贄には私がなりますから」
「最初からそうするつもりだったのかよ」
土方さんが、そんな神谷の背中姿を見ながら言った。
「話した通り、息子をよろしく頼みます。時間がありません。もうすぐ、本当の戦争が幕を開ける」
神谷は、こっちを振り返った。
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