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それでも、二つに割れた体が地面に着くと同時にあの粘土へ変化した。
攻撃が効いたと思ったが、また同じパターンだ。
ミルクは戦場に居るとは思えないほどの余裕さを醸し出し、むしろ呆れたような顔で俺を見ていた。
「あんたねえ、弱すぎなのよ。はっきり言って、よくそれでアッサムに挑もうと思ったわね」
ミルクは俺から視線を外すと、再び前を見ながら口を開いた。
「アッサムはあんたの体内エネルギーを吸っているのよ。だから、いくら攻撃を行ってもあんたの方が劣勢になっていくの」
そんな能力もアッサムは持っていたのか?
「全く気が付かなかった」
思わず零した言葉に、ミルクはきつく反応した。
「当たり前よ。もっとも攻撃に集中した瞬間、つまり接近した時を狙ってるんだから。ああいう相手には一定の距離ととって攻撃するのが良いに決まってるのよ。さあてと」
ミルクの手には、さっき手放したはずの槍が持たれている。
あの槍も能力で作り出してたのか?
いつ作り出したのかもわからなかった。
まるで手品のように、気が付けば持っていた言っていいほど速い。
これが能力だとしたら、発動するまでの時間は今までに見た誰よりも圧倒的。
「あんたの行動は読めてるわ」
次の瞬間、今度は真上に向かってミルクは槍を放った。
その直後、俺が槍の行方を追うよりも早く、アッサムの悲鳴が轟いた。
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