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直後、背後からとてつもなく嫌な気配が漂う。
何で今まで気づかなかったんだろうというぐらいに……。
その場から逃げ出したくなるような感覚に襲われた。
俺は恐怖を抑え込み、ゆっくりとそっちの方を振り返った。
視界に映し出される光景は、丘の上に堂々と構えられた城。
ここからほぼ一直線に続く登り坂の先に建っていた。
その坂の途中に、その人物が立っている。
この国の王。アールグレイ。
アールグレイの左手には、鳥の籠のような物が持たれていた。
そして、そのすぐ傍の地面で和也が倒れていた。
光刀は、そこから数メートルほど離れた場所で敗北を示すかのように地面に突き刺さっている。
負けたのか?
和也は意識がないのか、地面に倒れたままピクリとも動かなかった。
あいつに……。
氷のように冷たいアールグレイの視線は、真っ直ぐ俺に向けられていた。
「――――!」
さらに振り返ると、アッサムが異常な声を上げながら地面に崩れ落ちたミルクの顔を思いっきり踏むところだった。
グシャ。アッサムの大きな足がミルクの顔面に直撃すると、ほぼ同時に耳に残る鈍い音が鳴り響いた。
なんだ?
何が起きてるんだ?
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