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「ここ、禁煙ですよ」
振り向くと、眼鏡を掛けた高校生が俺を軽く睨んでいた。俺は軽く頭を下げてから言った。目の前にまず飛び込んできたのは、その巨乳。
「すみません。分からなくて」
「張り紙、ありますから」
「そうですね」
田舎だからって、色々舐めていた。煙草一本ぐらいいいだろうとか、高校生は垢ぬけてなくて皆貧乳だろう、とか。
「なんですか」
俺の視線に気が付いた高校生が、嫌な顔をしながら本を閉じた。
思えばこの停留所には俺と彼女しかいない。
彼女が怯えて身構るのも、無理はないのだ。
「いや、何、読んでるのかなって」
「フロイトの事を分かりやすく書いている本を読んでます」
「へ、へえ。凄いね。三年生?」
フロイト?
そういうのって、大学で勉強するんじゃないのか。
「三年生になったら受験で読めないじゃないですか。二年生ですよ」
彼女が勝ち誇ったように微笑んだ。
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