第1章

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「ここ、禁煙ですよ」  振り向くと、眼鏡を掛けた高校生が俺を軽く睨んでいた。俺は軽く頭を下げてから言った。目の前にまず飛び込んできたのは、その巨乳。 「すみません。分からなくて」 「張り紙、ありますから」 「そうですね」  田舎だからって、色々舐めていた。煙草一本ぐらいいいだろうとか、高校生は垢ぬけてなくて皆貧乳だろう、とか。 「なんですか」  俺の視線に気が付いた高校生が、嫌な顔をしながら本を閉じた。  思えばこの停留所には俺と彼女しかいない。  彼女が怯えて身構るのも、無理はないのだ。 「いや、何、読んでるのかなって」 「フロイトの事を分かりやすく書いている本を読んでます」 「へ、へえ。凄いね。三年生?」  フロイト?  そういうのって、大学で勉強するんじゃないのか。 「三年生になったら受験で読めないじゃないですか。二年生ですよ」  彼女が勝ち誇ったように微笑んだ。      
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