水溜り

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家までまだ10分くらいかかる。 早く帰ってゲームしたいなー、と思いながら住宅街を歩く。 「……おっ」 目の前に大きな水溜りを見つけて、オレは立ち止まった。 しゃがんで水溜りを覗くと、綺麗な青空が映っていた。 「パラレルワールド……ねぇ……」 本当にそんなのがあるのか、オレは気になった。 持っていた傘の先をゆっくりと水溜りに入れてみる。 ――すんなりと10cmくらいの傘の先が全て入った。 「マジか!」 そのままゆっくりと入れていくと、何につっかえることもなく傘は水溜りに飲み込まれていく。 「……あれ?」 途中、傘の半分が入ったあたりでつっかえてしまった。 「なんかに引っかかってんのかな」 つついてみるけど、つっかえは直らない。 「もっと強くつつけばいけるかも――」 オレは立ち上がって傘の柄を両手で掴むと、目一杯上にあげて思い切り垂直に下ろした――。
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