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部屋はあっという間に龍一が読み散らかした新聞でいっぱいになる。
私はもうお花屋さんの包装紙としか思えない新聞たちに埋もれて、インクの臭いにむせ返りそうになった。
「……龍一」
恐る恐る声をかけたら、
「ん?」
龍一はメガネをかけた、インテリイケメンな顔をあげる。
――キュン――
その何もかもを承知の、余裕の笑みに対して、いったい何て言えばいい?
「ごめんなさい」
「何が?」
「龍一を無視したこと」
「別に無視されてないぞ。俺は新聞を読むのに忙しい」
ちなみに今読んでいるのは、
『日刊恐怖新聞』
どこで買うんだ、そんなもん。
「概要を話してやろうか?」
遠慮します、ごめんなさい。
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