第1章

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退屈な現実から、苦しいだけの今から逃げ出したくて 目の前のホームに入ってきた電車に飛び乗った。 電車は何処にとまることもなく、道なき道を走り続け辿り着いた場所は、山の中に囲まれた自然の中のホーム。 蝉時雨の声がやけに耳につく。 そんなボクの視線が捉えたのは、メガネをかけた制服姿の少女。 思わず……ボクは声をかける。 B「君、何見てるの?」 A「えっ?アナタ……見えるの?」 分厚い本から視線をあげて驚いた素振りで答える少女。 B「見えるって何が?」 見えるってことがそんなにびっくりすることなの? A「いいわ。教えてあげる。   私が見ているのは貴方の未来。   何時か時が来たら私に逢わなかったらよかったと後悔するわ」 夏のあの日出逢った少女と再会したのは遠い年月が過ぎた頃。 あの頃と変わらぬ姿で現れた少女は大きな鎌を振りかざして僕を解き放ち 本の中へと吸い取った。
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