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いつもと変わらぬ自宅のダイニング。
いつもと変わらぬ妻の笑顔。
違うのは、まるで水の中にいるような静けさだけか――。
龍一はふと視線をマイセンのカップの中に落とした。
龍一お気に入りのカップに注がれた液体の底には、美しい青い紋様が透けて見える。
紅色の中にひっそりと沈む青い宝石。
「最後に見る景色が呪いのブルーダイヤモンドとは、皮肉だな」
龍一は薄い笑みをその美しい顔に浮かべる。
そして、カップの中身を一気に飲み干した。
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