またね。

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制服のスカートを木製のベンチに垂らし、猫背で本に視線を落としていると、その子はいつものように足音もなくやって来た。 B「よう、姉ちゃん」 A「うん。おはよう」 B「今日も学校?」 A「課外、あるから」 B「うぇ。夏休みなのに学校に行かなきゃなんて、高校生は大変だなぁ」 A「あなたはちゃんと宿題やってる?」 B「その話題は勘弁。相変わらず姉ちゃんは真面目なのな。辞書みたいな本ばっか読んでないで、男でも作りなよ」 A「もう、ませちゃって。ばかっ」 『お~い、そろそろいくぞ~』 B「おうっ。‥‥‥んじゃ姉ちゃん。またな」 A「またね」 ‥‥‥いっちゃったか。 A「あ~あ。制服着るのもそろそろキツいかなぁ」 まあ大丈夫だよね。見た目はあの頃と全然変わってないんだし。 開いていただけの本を閉じ、私も電車の来ない駅を去った。 「それじゃまた来年のお盆に」
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