天使の運命≪1≫

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……爽やかな朝、小鳥の囀り。 何処からか聞こえてくる犬の挨拶と電車が走る大きな騒音。 東京都内近郊の築数十年は立つ1DKの古びた二階建てのアパートの一室。 それが僕のテリトリーだった。 ここを選んだ理由は、確か大学が近いから……ただそれだけのことだ。 そして僕の一日は、パンが焼けるオーブントースターの合図と、コーヒーのほろ苦い匂いから始まる。 これがいつもの朝、僕の日常なのだ。 平凡な毎日とはきっとこういうものから出来ていて、人間何かしら違った一日を期待していても、現実はそんなことが起きるはずもなく、 幸せとは普通に毎日を過ごしていくことなのだろうとずっと思っていた。 ……僕はそう信じて、19年間生きてきたのだ。
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