天使の運命≪2≫

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私もかつてはその人間という生き物から、天使になった身なのだ。 人間は自分が死に直面した時、稀に善い行いをしてから死ぬ者がいるという。 その時、“天使になりたい” と心強く願えば、その願いが叶う者がいるのだ。 ……それがきっとここにいる私のことなのだろう。 でも人間の時の記憶があるはずもなく、何も覚えてはいない。 ……思い出せもしない。 ただ私はこの世界にやって来てからずっと、一人の人間の生活を見るのが日課となっている。 その人間は天使の存在を信じていて、いつも悲しい顔をし、生きているのにまるで死んだような生活を送っていた。 ……何か、悲しい出来事があったのだろう。
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