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「梛(なぎ)~!」
確かあの日も、いつもと変わらぬ朝がやってきて、僕の名を呼ぶ愛しい彼女の声で目を覚ました。
カーテンから覗く朝日が眩しいのと、眠いという理由で、僕の脳はまだまだ日曜日気味だったはずだ。
脳が活動するのにもう少し時間が必要みたいで、布団を頭の上に押し上げようとした時、僕の体は外の空気に曝された。
その日はいつもに増して寒い冬の朝だった。
冷たい風が容赦なく僕の頬を叩いてきて、足の感覚もなく手は悴んでいた。
その手を恐る恐る頭上に掲げた僕の目は、……まるで死んだ魚のようだったと思う。
……それ程までに眠くて仕方なかったのだ。
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