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キッチンには赤の小さな丸テーブルが一つ置いてあって、そのテーブルを囲むように僕と彼女は座り食事をいつも摂る。
……狭い距離感が僕はとても落ち着くのだ。
会話だって自然と生まれてくるし、
それより何より、ちゃんと彼女の顔を見て一日の始まりが訪れるということに日々ありがたく感謝してしまうのだ。
僕が丸テーブルの前に腰を下ろしたのを見計らったようにコーヒーを運んできた彼女は、黒髪のロングヘアーで、その髪の毛をいつもポニーテールに纏めている。
大きなドット柄のシュシュが、彼女の髪の毛を鮮やかに彩っていた。
……そんな眩しい彼女を横目に、カップに口をつけた僕から出た言葉は、やっぱりというのか、
「にがっ!」
という……コーヒーの味に対してクレームとも取れる言葉だった。
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