天使の運命≪1≫

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嘘も方便と言うじゃないか。 “美味しい” という4文字がどうしていつも僕には出てこないんだろう……。 僕は罰が悪そうに彼女に視線を向けてみると、まるで風船のように両頬をぷぅっーと膨らませた彼女の姿がそこにはあった。 「文句があるなら飲まなくていいもん」 ……違うよ、文句じゃないんだよ。 怒るキミの顔が毎朝見たくて、わざと僕はそう言ってみるんだ。 苦いコーヒーの隣には、黒焦げのトーストが二枚並んで皿の上に置かれている。 普通は焦げたものを食べたら癌になるとか言うけど、 僕は、彼女が焼いてくれたトーストを食べて癌になるなら、それこそ本望だ…… と思うあたり、どうしようもなく彼女に依存し過ぎている。
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