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嘘も方便と言うじゃないか。
“美味しい”
という4文字がどうしていつも僕には出てこないんだろう……。
僕は罰が悪そうに彼女に視線を向けてみると、まるで風船のように両頬をぷぅっーと膨らませた彼女の姿がそこにはあった。
「文句があるなら飲まなくていいもん」
……違うよ、文句じゃないんだよ。
怒るキミの顔が毎朝見たくて、わざと僕はそう言ってみるんだ。
苦いコーヒーの隣には、黒焦げのトーストが二枚並んで皿の上に置かれている。
普通は焦げたものを食べたら癌になるとか言うけど、
僕は、彼女が焼いてくれたトーストを食べて癌になるなら、それこそ本望だ……
と思うあたり、どうしようもなく彼女に依存し過ぎている。
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