図書室にて

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放課後、今日は部活が休みのため図書室に寄って、一冊の、目に留まった本を手に取り、席に着いて開いた。 ある、恋のテクニックが書かれた本を『こんな本、学校の図書室に置いてあっていいのかな』と疑問に思いながらもページを(めく)る。 「何の本読んでるんすか?」 食い入るように読んでいたら、知った声が後ろから聞こえた。 同じ部活の、一学年下の男子。 「え!?あぁ……えっとね……  年下男子の落とし……方?」 嘘の()けない私は疑問系になりながらも正直に答えた。 「はぁ?」 「しぃー、そんな大きな声出しちゃダメだよ。」 怒ったような大きな声に慌てて、自分の口に人差し指を当てて注意した。 「そんなん、もう読む必要ないっすよ。  僕、もう貴女に落ちてますから。」 今度は耳元で囁かれるように言われて、私の胸は爆発寸前。 その言葉で、私が年下男子に落とされてしまったようだ。 ニコッと微笑んで、そっと、彼が本を閉じた。 END
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