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あるときAの噂を聞いた。
僕は地縛霊ではない。
だからここから離れることができる。
Aに会うことができた、しかし彼女ではなく、『A』という名の別の存在だった。
戻ってくるとAという本が置いてあった。
彼女が読んでいた本だ。
彼女が戻ってきたのかと思ったが、彼女の姿はなかった。
所詮は大量生産品、彼女の物とは限らない。
よく考えれば装丁も異なる、彼女の本は友人の書いたものらしく、学習ノートに書いたおよそ本という見た目の物ではなかった。
偶然同じタイトルの本か、彼女の友人が出版した本を誰かが忘れて行ったのだろう……。
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