第1章

4/6
前へ
/6ページ
次へ
あるときAの噂を聞いた。 僕は地縛霊ではない。 だからここから離れることができる。 Aに会うことができた、しかし彼女ではなく、『A』という名の別の存在だった。 戻ってくるとAという本が置いてあった。 彼女が読んでいた本だ。 彼女が戻ってきたのかと思ったが、彼女の姿はなかった。 所詮は大量生産品、彼女の物とは限らない。 よく考えれば装丁も異なる、彼女の本は友人の書いたものらしく、学習ノートに書いたおよそ本という見た目の物ではなかった。 偶然同じタイトルの本か、彼女の友人が出版した本を誰かが忘れて行ったのだろう……。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加