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僕の勝手な思い込みが招いた悲劇。
言葉が足りなくて、大切な人を困らせたり、傷つけたりする。
僕がもっと、彼女に歩み寄らなくては。
「ごめん。勝手に持ってないって決めつけてた……」
<いいよ>
彼女は笑って、手をパタパタと振った。
<めあど おしえて>
「LINEとか持ってない?」
<なに それ>
「えっと、チャットできるアプリだよ。」
<よく わからない たぶんない とおもう>
「そっか……」
<めあど おしえて>
「……はい。」
<……>
「……」
<……なにこれ>
「いや、あの……」
歌子さんが携帯を持っていないという、先入観に囚われていた僕は、
他に友達もいないし、家族とはLINEでやり取りしていたから、
メアドなんて誰に教えることもないと思って、
6月30日にメアドを変えていた。
【 utako-wa-orenoyome@*****.ne.jp 】
「いや、あのね、◯◯は俺の嫁っていうフレーズが流行ってて、
そういうタイトルのアニメっていうか、そのラノベとかでも、
よく使われる表現で、特に深い意味はなくて、だから、その、
本当に深い意味はなくて……」
彼女が携帯を所持していたことと、それがガラケーだったことで、
こうして不意打ちをかけられている。 不覚だ。
<はずかしいから そのうち かえてね>
「はい……すみません。」
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