#05 * 雪将

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僕の勝手な思い込みが招いた悲劇。 言葉が足りなくて、大切な人を困らせたり、傷つけたりする。 僕がもっと、彼女に歩み寄らなくては。 「ごめん。勝手に持ってないって決めつけてた……」 <いいよ> 彼女は笑って、手をパタパタと振った。 <めあど おしえて> 「LINEとか持ってない?」 <なに それ> 「えっと、チャットできるアプリだよ。」 <よく わからない たぶんない とおもう> 「そっか……」 <めあど おしえて> 「……はい。」 <……> 「……」 <……なにこれ> 「いや、あの……」 歌子さんが携帯を持っていないという、先入観に囚われていた僕は、 他に友達もいないし、家族とはLINEでやり取りしていたから、 メアドなんて誰に教えることもないと思って、 6月30日にメアドを変えていた。 【 utako-wa-orenoyome@*****.ne.jp 】 「いや、あのね、◯◯は俺の嫁っていうフレーズが流行ってて、  そういうタイトルのアニメっていうか、そのラノベとかでも、  よく使われる表現で、特に深い意味はなくて、だから、その、  本当に深い意味はなくて……」 彼女が携帯を所持していたことと、それがガラケーだったことで、 こうして不意打ちをかけられている。 不覚だ。 <はずかしいから そのうち かえてね> 「はい……すみません。」
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