#05 * 雪将

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「しかも、3段って……」 <ほら おいしそうでしょ> 「うん!すごく美味しそうだ!これ全部……」 食べきれるかな……までは言い切らなかった。 もきゅもきゅとお昼を頬張る歌子さんを見ながら、 口の動きに注意した。 彼女は食事中に筆談をしない。 何かを伝える時は、口の中の物を飲み込んだ後に口を動かす。 食事中は常に口が動いている状態なので、 見逃さないように警戒が必要だ。 もう告白の時のように、肝心な所を聞き逃すことにないように。 「歌子さんは何型?」 <えー> 「お!僕と同じだ。」 <雪将くんは えーがた っぽい> 「っぽい? そうかな。よくB型っぽいって言われるけど。」 <ううん えーがた っぽいよ> 「へへ。そっか! 歌子さんは、何座?」 <おとめざ> 「乙女座って、いつだっけ。あれ……7月?!」 <はちがつ だよ> 「いずれにしろ、もうすぐじゃないか!何日?」 <やさいのひ> 「えっ?」 <さんじゅう いちにち> 「31……あぁ、8月31日だから、やさい、ね!」 <そう> 知らなかった…… 本当に、もうすぐじゃないか。
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