#05 * 雪将

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<いいな おにいさん> 「そうかな?」 <わたし ひとりっこ だから うらやましい> 「羨ましい事なんて、何にもないよ。兄弟って言っても全然似てないし。  春兄はなんていうか……僕とは違いすぎるから……」 <……> 歌子さんは、考え込んでしまったようだ。 僕が、返事に困る言い方をしてしまったから…… 「ごめん。いや、僕は一人っ子、いいと思うけどな!」 <うん……> 「でも、春兄とは仲良いんだ!今度、紹介するよ!」 <うん……きかいが あれば> 話の流れで言った事だったけど、歌子さんは乗り気じゃないみたいだ。 僕が春兄との差を感じているような言い方をしたから、 会いずらくなってしまっただろうか。 それとも、やっぱり耳の事がネックになっているのだろうか。 僕としては、せっかくだから、春兄には紹介したい。 春兄は歌子さんの事を知っても、 ネガティブな感想は抱かないだろうし、 歌子さんさえ良ければ、友達が増える事にならないだろうか。 いつも僕と二人きりでいるよりも、理解者は一人でも多い方が、 彼女にとってプラスにならないだろうか。 うん……難しいな…… <でも いつか あってみたい> 「ん? ごめん、もう一回いいかな。」 <いつか あってみたい おにいさんに> 「うん……うん! 会わせる! 会わせるよ! いつでも!」 歌子さんは微笑んだ。 穏やかな表情だ。 でも何故だろう…… 少し寂しそうに見えるのは、 僕の気のせいだろうか……
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