#05 * 雪将

2/21
前へ
/21ページ
次へ
はぁ……やってしまった…… 色々と問題はあるけど、何より考えないといけないのは、 これからどうするべきかということ。 どうやら告白は成功して、明日から……というか、 現時点で既に歌子さんは僕の恋人である。 嬉しいとかそういうプラスな感情を差し置いて、 あまりの愚かさに、今更ながら赤面する。 「もう駄目だ……もう死にたい……」 「なんだよ、辛気くさいなぁ。また学校でいじめられたのか。」 二つ年上の兄ちゃんである春雪は、呆れたように食卓についた。 この人はなんていうか、世間でいう「勝ち組」タイプで、 顔、頭、身長、運動神経、性格、何をとっても ”はなまる” ばかり。 兄弟の優劣がここまで明白な場合、必然的に起こる事ではあるけど、 両親や周囲からは常に兄ちゃんと比較された。 その結果として、小さい頃からいじめられていた、 と言っても過言ではない気がする。 まぁ、よくある話だけど。 だからと言って、僕は春兄のことを嫌いになったりはしない。 春兄は生まれた時から良くしてくれたし、決して僕を見下したりしない。 そういう所も含めて、出来た人だと言ってしまえばそれまでだけど、 僕は春兄を尊敬しているし、好きで慕っている。 こんなチグハグな兄弟だけど、 兄弟仲は他と比べてもいい方だと思う。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加