#05 * 雪将

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ーーーーー そうは言うもののだな…… いざ歌子さんを目の前にすると、 シミュレーション通りに出来ないのが、僕だ。 「お、おはよう、歌子さん。」 <おはよう> 彼女は特に動揺する様子もなく、お決まりの席に座って、 いつも通り本を読んでいた。 大人しく彼女の向かいに腰をおろすと、 勉強道具を取り出して机に並べる。 「来週はもう7月だね。」 <そうだね> 「7月に入ったら期末テストがあるね。」 <そうだね> 「で、でも、テストが終わったら、な、夏休みだもんね。」 <そうだね> 「な、夏休みは、僕、毎年家族で旅行に行くんだよね。」 <……そうなんだ> しまった。旅行の話題はタブーだっただろうか。 「うっ、歌子さんはっ!その……夏休みの、予定とか……」 そこで彼女は本を閉じると、まじまじと僕を見た。 <とくに ないけど> 「……なら、僕と、どこか…遊びに行き、ませんか……」 彼女は驚いたように目を見開いている。 そうですよね。やっぱり外出なんて無理ですよね。 普通に考えれば分かる話ですよね…… <いいよ> ーーーーー
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