昼下がり屋根の下

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夏も終わりに近づいた頃。実家から自分の家へと帰る為、バスと電車を利用して帰路に着こうとしていた。 こんな時、車が故障していなければとそう思ってしまう。唯一の救いは、ビルがなく、自然が多いという都会では味わえない光景だけだった。 バッグからハンカチを取り出し、汗を拭いてバッグにハンカチをしまってタバコとライター。それと携帯灰皿を取り出した。その動作だけで夏という季節が嫌になる。 バス停に着くと女の子がベンチに腰掛けていた。隣りに座るのもなんだか気が引けたので、立ったままバッグのベルトを肩に引っ掛けてタバコに火を付けようとしていた。 A『あの』 か細い声でそう言ってから貼り紙の禁煙マークを指差した。 B『ああ。すいません』 俺は、慌ててタバコに火をつけるのをやめてバッグにしまった。 一言だけでも若い子と喋れたことがなんだかうれしく思った。そう思うと夏も悪くないなと感じた。  
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