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目の前に座る少女は小説をみていた。流れる髪がとても綺麗で、逆光がさらに彼女を引き立てる。
思わず見とれていたらカチリと目があった。
A「あの…どうかしましたか?」
見つめすぎていたのか怪訝そうな表情を浮かべて首を傾げていた。
B「あ、えーと…確か隣のクラスのAさんだよね?同じ電車通学だったんだなーって…」
ハハハッと笑って誤魔化せば彼女は一度キョトンとしたあと微笑んでくれた。
A「そういえばそうですね。私、部活に入ってないんでいつもこの時間なんです」
B「だから会わなかったのか…Aさん何読んでるの?」
A「これですか?これはホラー小説です」
B「え、は、ホラー?Aさんって推理小説とか読んでそうなのに」
A「イメージとは違いますよね」
少し困ったように笑う彼女にしまったと思った。
B「ごめん、そういうつもりで言ったんじゃないんだけど」
A「大丈夫です。慣れているんで」
そう言って下を向いてまた小説に目を移そうとした。まるで、話はこれでおしまいにされているようだ。
B「そ、それも!」
A「?」
B「個性だと思うよ!」
話がこれで途切れてしまうのが嫌で変な事を口走ってしまった。顔が熱くなるのを感じる。
B「えーと、つまり…」
A「ありがとう」
B「え?」
A「別にイメージと違うからってイジメられているわけじゃないし友達もちゃんといるけど、正面から認められるのは初めてだから」
余計なことを言ったかな、て思ってしまうけどありがとうと言われれば擽ったく感じるけどやっぱり嬉しい。
A「あの、隣に座りますか?」
B「いいの?」
A「はい。私、もっと貴方と話したいです」
照れ臭そうに微笑む彼女。
B「俺ももっとAさんと話したい」
俺は完全に恋に落ちた。
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