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僕には母がいない。
物心ついた時には既に母の影は無かった。兄に聞いても、父に聞いても、結果は同じ。僕は母を知らない。
「あ、真空君!」
「ひまわり。おはよう」
僕には彼女がいる。名前は夏目ひまわり。生まれつき体が弱く、入退院を繰り返している。それでも、いつも笑っていて…僕はいつも励まされている。
「みて!ひまわりが…咲いたの」
「あ、ほんとだ。綺麗だね」
ひまわりはもう長く生きられない。あと2ヶ月したら…死んでしまう。そう、彼女は余命1年を宣告されたのだ。
「真空君が植えたからかな、凄いキラキラしてるね」
「変わんないでしょ。それより、ひまわりの方がキラキラしてる…」
僕はうまく笑えているだろうか。咲いたひまわりを見て、嬉しそうに顔を綻ばせるその顔も、見られなくなってしまうのだろうか。そう考えると胸が痛む。
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