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「おい、夏目」
「黒澤さん!見て見て!」
彼女は黒澤るい。ひまわりの担当医だ。言葉遣いこそ悪いものの、優しいと評判だ。
「あ、咲いてる。望月、お疲れ様だな」
「何もしてないっすよ?」
黒澤さんは知っていたようだった。ひまわりが笑ってくれるように、元気になるように、毎日僕が世話をしていたことに。
「じゃなくて、検診の時間だから。望月は出てろ」
「はいはい、んじゃまた来るんで」
「あー、外で待ってろ。話がある」
「…はい、分かりました」
そう言った黒澤さんの顔が一瞬暗かったのは気のせいだろうか。それでも、彼女の親はカナダに帰ってしまったため、僕が聞くしかない。
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