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それから少しして、黒澤さんは病室から出てきた。
「あ、望月。こっち来い」
「ひまわりの、ことですよね」
僕の質問に答えることもなく、黒澤さんは僕を応接室へ案内させた。
「望月、簡単に言う。夏目は後2週間したら話せなくなるだろう」
「…は?なにを…」
「もう一度言わなきゃならんか?夏目は…」
「有り得ない、だろ…」
有り得ない。彼女は、ひまわりは、あと2ヶ月時間があるはずだろう?そんな、簡単に言うなよ。首まで出た言葉は黒澤さんには届かなかった。
「夏目のこと想ってるなら、受け入れろ。アイツの親は帰ってこないんだから」
「帰って、こない?」
「あぁ。夏目にはお前しかいない。そばにいてやれるのはお前しかいないんだ」
それだけ言うと、黒澤さんはゆっくりと、優しく、語り出した。
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